尾籠な話(バリウム便との戦い)

すいません、お食事中の方は読まない方がいいです。

先週、会社の健康診断があって、私の歳になると毎年胃のレントゲンがあります。ということは、かならず造影剤のバリウムを飲むわけです。ご存じのように、バリウムは検査後にすみやかに体外に排出しないと、腸の中で固まって腸閉塞を起こすというやっかいな代物です。胃部のレントゲン検査がはじまって、もう何十年と経つのに未だにこんな危険なモノを飲まされ続けるなんて!とか毎年言っているような気がします。

さて、だいたいは下剤を飲んで、その日のうちに排出されるバリウム。わたしもその日何度かトイレにこもって、「白い何か」が排出されるのを目撃していましたので、すっかり安心しておりました。

その二日後のこと、家のトイレから妻が呼ぶのです「トイレが詰まったみたい」と。行ってみると、何かよくわからないものが便器の底の方にたまっております。でも、詰まっているのとは違って、水は流れるのです。試しにトイレットペーパーを置いてみると、トイレットペーパーだけが流れていって、その何かだけは流れない。つまり、その何かだけが流れないという変な現象でした。

もうおわかりかと思いますが、その何かは白い色をしており、普段トイレで見慣れた形をしておりました。つまり……白いうんこでした。妻がトイレをする前に私が出したものでした。それにしても驚きました。本当に白い便が出るのだなと。初めて見たのです。今まで何回かバリウムは飲んでいますが、下剤を飲むためか、このような固形の形で排出されたのをありありと見たことはなかったのです。

で、正体がわかったところで、なんで流れないか?と考えてみて、重いからだと気づきました。水洗トイレの便器の構造を調べてみたのですが、下水管からの臭いが来ないようにU字型に曲がった水路を通って、便は排出されるようになっています。なので、便器の底から下水へ流れるにはある程度の高さの障壁を越えないといけない。それが、通常の便だと越えられるはずなのに、バリウムで白く固まった便だと越えられないというのです。

便器の水流の問題とか、便器を設計する人はちゃんとこの障壁を越えられるように設計しているはずですが、その想定重さを越えているのですね。たぶん。通常の便は水分75%、固形物25%の構成だそうですが、バリウム入りはたぶんほとんど水分がないんだと思います。

で、そのままでは流れないことがわかったので、割り箸を持ってきて、つついて細かく砕いてやる作戦を立案しました。割り箸を刺した感触はややぷにっとしていて、その割りには結びつきが強固でなかなかくずれてくれません。おまけにつついていると、水が白く濁ってくるため、場所がわからなくなるのです。そのため、割り箸で掴んで、水のないところまで便を引き上げて、解体する必要がありました。

なんとか、細かく砕いたものの、それでも流れないのくりかえし。1cm立方くらいまでに砕いても全然流れないのです。どんだけ重たいんだ。だんだんくたびれてきましたが、水に浸し続けても勝手には解体しないことがわかっていたので、そのままにしておくことはできませんでした。なお、悪いことに30分後に来客の予定だったのです。こんなトイレを見せるわけにはいかない!と焦りました。

結局、その後15分くらいかけて、更に細かく砕くことですべての便が流れていきました。さらば、白い便。最後の便を見送ったあと、くたくたにつかれていました。バリウムを飲んだあとは、下剤の影響でたいがいその日一日、体調が悪いのに、検査が終わった後もこれほどまでに苦しめられるとは思ってもみませんでした。

一日も早い、バリウム以外の安全で、処理のしやすい造影剤の開発が待たれます。ホント、来年もこんな作業するの嫌ですから。