最近見ている番組

平日、休日を問わず、地上波ではニュース番組はおろか天気予報まで見なくなって久しいのですが、唯一見ている番組が「ブラタモリ」です。これはジャンルとしては紀行というか、地理というか、どちらかというと高低差探究番組ではないかと思っているのですが、観光地に行ったとしても、メジャーなスポットはほぼ行かず、行ったとしても地面ばかり見ているという(もしくは暗渠)、およそ民放では歓迎されないタイプの番組ですね(こういう民放ではやれないものをどしどしやって欲しいと思います)。

東京のみの時は時たましか見れなかったのですが、全国篇になってからはほとんど欠かさず見ています。地理が苦手な妻も、その土地のあり方が地形から明らかになっていく過程を見ていると、探究心を刺激されるのか面白いといいます。あと、新しいアシスタントの桑子さんが可愛い人なのも妻的ポイントのようです。ただし、毎回桑子さんのファッション(残念ながらあまり似合っていない)については厳しいチェックが入ります。

この番組を見出してから、新しく住み始めた場所の高低差や、不自然な地形などがぴぴっとアンテナに引っかかるようになりました。

BSではWOWOWで放映されている「プロジェクト・ランウェイ」という米国のデザイナーのコンペ番組を見ています。毎回、決められたテーマと予算と時間に従って、服を一着から数着デザイン・縫製し、モデルに着せてランウェイで披露します。審査によって、毎回1人が脱落し、最終的に残ったデザイナーにはブランド立ち上げ資金、OA機器とオフィス、レクサスの最新モデルなどが与えられる他、ファッション雑誌のマリクレールでの特集、デパートでの独占販売権など豪華な特典がつきます。その分、毎回のテーマを期限内(デザイン30分、買い物30分、作業8時間とかのレベル)にやりきるのは大変難しく、プレッシャーなどから自滅していくデザイナーも多いです。

番組の司会進行は元スーパーモデルのハイジ・クラム、そして指導役としてファッション学校の校長であるティム・ガンが登場します。このティム・ガンの台詞が有名で、デザイナー達が迷ったり、ぐずぐず作業をしていると「とにかく形にするんだ!(make it work!)」としょっちゅう言います。この言葉、あらゆる仕事をしている人にとって、耳に痛い言葉です。形にするとは、番組的にはランウェイに出せる服を仕上げることですが、make it自体には「苦労して、なんとかやりぬく」という意味があり、ようは目に見える結果を出すということでもあります。仕事が停滞しているときとかは、「うっ」って見ている方にも突き刺さります。

ティムのこの言葉を聞くだけでも見る価値はあると思いますが、もう一つ面白いのはデザインの審査において、審査員はデザイン能力・縫製能力、出来た服だけを評価し、人格の否定などは一切しないという姿勢を貫くところです(仕事に臨む態度とかは若干口を出す)。よくあるオーディション系の番組だと、その人の生い立ちとか、家族とかのドラマを前面に出してきますが、そういうのはなし。本当に実力勝負の面が大きいです。あ、でも勝負なので、ライバル達との軋轢とかは当然ありますし、構成上の演出もたまに見えますが、それらはあくまでおまけでしかありません。

1シーズン見終わるころには、ファッションにそれまであまり関心がなかった私が、これはいいデザイン!とか、ここはちょっと野暮ったいなぁーとか言い出しました。婦人服が主なので、自分の服選びのセンスが変わったかはわかりません。でも、別の番組でティムが言っていた服選びの基準「着ていて自分がハッピーだと思えない服は着ない」というのは意識するようになったかも。

あと、見ている人、着ている人のことを考えた服づくり、というのは案外難しく、デザイナーはデザイナーであって、アーティストではないということを強く意識させられました。いや、わたしはデザイナーじゃないですが、プロ意識を持つってことは顧客のことをよく考えるってことで、それは仕事をする人に共通するでしょう。無理に何かに結びつける必要はないけれど、この番組を見るとなんか、哲学的なことまで考えてしまうのです。

あと、DVDで見ている「Person of Interest」という抜群に面白い海外ドラマがあるのですが、これの話はまたの機会に。