台湾出張(2)路上観察好きなら「奇生之廟」を買うべし、他2冊

台湾出張2回目のお話は買った本の紹介です。誠品書店で雑誌「dpi」と雑誌「秋刀魚」は台湾に来る前から調べていてもともと買うつもりだったのですが、最初に紹介するこの写真集「寄生之廟 PARASITIC TEMPLES」は店頭で見かけて、ぴぴーんと直感が働いて買うことを決めたものです。こういう出会いがあるから旅先で書店へ行くのだろうなぁ、わたしは。

最初に言いますが、たぶん現時点では台湾でしか発売されていないと思います(2017/10発行)ので、路上観察や土木が好きな人はぜひ台湾へ買いに行くか、誠品書店の通販で買ってください。面白さは保証します。

そもそも廟ってなんだ?とお思いでしょうが、英語の表題にある通りTEMPLES、お寺です。日本のお寺と違うのは、仏教とは限らないということでしょうか。台湾には仏教ももちろんありますが、道教をはじめ、土着の神様(日本の八百万の神みたいな)が渾然一体となっているところがあって、いずれも信仰をあつめているようです。そして、それらが区別なく一緒に祀られている場所が廟という存在。日本でいえば街中にあるお地蔵様(京都には町内ごとにあるのです)とお稲荷さんの祠が合体したような感じでしょうか。やや庶民的な感じの親しみやすい拝礼所というか。実際に台湾の街かどで中華風の建物を見たことがあるひともいると思います。で、その中でも「寄生之廟」を収集分類したのがこの写真集なのです。

実際の場所の写真と、現地の様子が等角透視図法の見開きで紹介されています。

写真はともかく、なんで等角透視図法がいるの?というのがこの「寄生」の所以で、いわゆる独立した建造物としての廟の他に、街中のビルの2階だったり、農村の大木の下だったり、あるいは道の途中、角地、はたまた駐車場の一部などに寄生する形で存在する廟が台湾には数多くあるようなのです。。そのため、どこにその廟があるのかをわかりやすく表示する手法として、等角透視図法が掲載されているのです。

それを眺めるだけでも面白いのですが、単純に収集するだけでなく、分類しようと試みているのがこの写真集のすごいところ。

廟が自然に寄生しているのか、人造物に寄生しているのかにはじまり、自然なら水際か、地中なのか、あるいは人造物なら上空なのか地下なのか、はたまた移動するのかしないのか、その分類は実に108種類!

たとえばこのページでは歩道に沿っている族(属性のことか?)と道路に沿っている族に分類しています。道路だったら三叉路にある例、ランダバウトにある例などなど。それぞれがアイコンで表されており、各具体例のところに表示されています。

どうですか、読みたくなってきませんか?路上観察やビル好き、土木好きならうずきませんか。ぴぴんと来るはず。日本語のキャプションがなくても、繁体字と英語のキャプションだけで十分読み解けます!見て、感じよう。滞在中には叶いませんでしたが、自分でもこのような廟を探して歩きたかったです。この本で紹介されている以外にもまだまだあるはず。日本ではこのような存在はまったくないと言っても良いだけに、台湾へ行く楽しみがまた一つ増えました。

本の作者は賴伯威(Po Wei LAI)さん。台湾の建築家でハーバード大の修士号を持ち、台湾以外では北京、上海、東京でも建築の仕事をしているとのこと。路上観察の本としてはなかなかアカデミックな体裁なのは、本職だからこそですね。

今回、冬コミに参加するのであれば、ぜひこの本を持参してメカミリ島のみなさんに見せびらかしたかったのですが、あいにく不参加。次回、夏コミに持っていけたらなぁと思います。それまで待てないという方は、少しハードルは高いかもしれませんが、誠品書店のネットショップで通販していますので、そちらでぜひ手に入れてください!

www.eslite.com

あとは駆け足で紹介。台湾、日本、欧州のイラストレーターさんを紹介・インタビューする記事がメインの雑誌dpi(サブタイトル?に設計挿畫誌MAGAZINE TAIWANとあります)。今月号は杉本さなえさん、mocchi mocchiさんなどが紹介されていました。

日本の文化を発見する台湾編集の雑誌「秋刀魚」。隔月刊で、今号は日本のガチャ特集。驚くべき細かさと網羅的な特集で、日本の雑誌でもここまでできない・やらないだろうという密度ですよ。

特集以外では、47都道府県各地の気になるニュース、日本の音楽シーン情報、展覧会情報などなど、日本の情報が知りたい台湾人のための情報がぎっしりです。いや、本当にこれ台湾で編集している日本情報雑誌なのか!(日本に編集部があるのでは?)と感心するクオリティと情報密度。本誌デザインもカバーデザインも素敵です。日本に住んでいる人が「日本再発見マガジン」として読むのにちょうどいいと思います。案外、身近というか自分の住んでいる国の文化のことは見えないもんですよね。そして、台湾の人がどう関心を持っているのかはなおさら。

以上、3点のご紹介でした。