スペイン旅行記(5)教会にて

前回はプラド美術館へ行ったところまででした。 

www.dempa-anshitsu.org

 

プラド美術館を出て、近くで食事をすることにしました。ちょうどバルのようなお店(”M”という名前でした)があったので入ってみることに。外国での食事は未だに非常に敷居が高く感じるのですが、ここのお店は外にメニューが張り出してあって、英語併記だったので助かりました。あと、TripAdvisor(全世界規模の旅行のレビューサイト)のマーク(あれはフクロウ?)が貼ってあったので大丈夫(ツーリストに安心安全)かなと思ったのでした。

以前、旅慣れた人になりたい的なことを書きましたが、そこで思い浮かぶのって、各地でいきつけのお店を持っていたり、地元の人しか知らないお店に入ったりということですよね。でも、現実の海外旅行だと、むしろツーリストが多く集まっているお店の方が安心に思います。私見ですが。味だとか、値段とか、ぼられない、スリがいないっていう点で。今はインターネットのレビューサイトによって、どのお店もすごい評価にさらされているわけで、人が集まる場所ほど手が抜けないんじゃないかと思います。なので、以降の食事の場所はTripAdvisorマークを見かけた近辺とかにしました。地元のお店って、照明がやけに暗かったりして、実際問題として観光客としては入りにくいところ多いなぁと思いました。

ところで、入ったお店に限らず、スペインでは冬でもテラス席を設けているところが多かったです。そして、テラス席にわざわざ予約を入れる人までいます。メニューを見ると、テラス席は5%のチャージを取るってところがほとんどなんですけど、高いお金払って、寒くても(一応、ストーブがたくさんある)、テラス席がいいってことみたいで、このあたりは不思議でした。

16:00くらいに一旦ホテルに帰って、少し休憩してから夕食に出ようと話していたのですが、そのまま二人とも眠ってしまいまして、気がついたら20:00を過ぎてました。さすがになんの下調べもなく、夜の街に飛び出して歩き回る気力がなかったので、朝とって置いて食べてなかったパン(4個)を食べて夕食としました。妻はわりと旅行における現地の食にこだわる人なんですけど、さすがに疲れていたのと、お昼が遅かったのでなんとかなりました。後で考えると、この日は日曜日だったので、あまりお店もやってなかったかもしれません。

 

さて、翌日。朝は早めにホテルを出て、カフェでチュロスとカフェオレを頼みました。なんかヨーロッパに来てる!って実感が湧きましたね。チュロスを食べたのはスペインの定番パンというのもありますが、メニューを見ると細い方0.45ユーロ、太い方0.55ユーロと非常に安かったからです。カフェオレも2.5ユーロくらいなので、朝食代3ユーロはお得かなーと。で、来たのを見ると予想と違って1本のみなんですね。隣の席で食べた人にはプレートに山盛りになってたので、それを予想してたんですが。なんと、あの値段は1本あたりだったのかと、どおりで注文の時に「ウノ(1本)?ウノでいいの?」と確認されたわけです。われわれは1皿のつもりでした。皆さんご注意くださいねw。注文しなおすのも面倒だったので、それぞれ1本ずつ食べましたが、わたしのは太い方のチュロスだったので、わりとお腹にたまりました。

 

f:id:gyama_d:20160206161728j:plain

今日は、スペイン王宮へ行くのと、その後ショッピングをするのをメインにしていまhした。王宮までは、ホテルから地下鉄1本、下りてから徒歩5分と便利。その途中に教会へ寄ることにしていました。

王宮の南500mくらいに位置する、Real Basílica de San Francisco el Grande。あまりガイドブックには載っていないし、観光スポットというわけではなさそうだったのですが、内部が見学できるようだったので入ってみました。まだ誰もいない聖堂に足を踏みいれた瞬間、息を飲みました。なんという美しさ、なんという静謐、そして荘厳。その後に見たアルムデナ大聖堂や、バルセロナサグラダファミリアに比べれば規模は大きくありませんが、一番心を打たれたのはこの教会です。時おり、地元の信者さんが通勤前にお祈りをされていきましたが、この空間に身を置くことがどんなにか幸せで、心を落ち着かせてくれるのかというのを知ってしまって、とてもうらやましく思ったのでした。これが以前、自分の同人誌に書き、ずっと想像でしかなかった「建築の持つ力」なのかと思うと、打ち震えました。(補足:私はキリスト教系の中学だったのですが、重文のチャペルが補強工事のため、入学した時点で毎朝の礼拝に使えなくなったのです。3年間、大学の大教室を借りて礼拝していましたが、あのときチャペルで礼拝があったらなーとものすごく悔しく思ったものです。クリスチャンではないのですけど)。

 

f:id:gyama_d:20160206164223j:plain

さて、その後5分ほど歩いて北上、深い谷にかかる橋を越える手前からアルムデナ大聖堂が見えてきました。位置的には王宮前広場のすぐ南に位置します。この谷の底は幹線道路になっていて、マドリード中心部から西部の住宅地への重要なルートになっているようでした。この地形は面白いなーとブラタモリ的な視点で夫婦とも観察しました。

アルムデナ大聖堂は1ユーロの寄付で内部見学がOKでした。内部撮影もOK。先ほどの大きな感銘はなかったものの、こちらも美しいことには変わりなく、かなり心囚われました。

 

f:id:gyama_d:20160206170603j:plain

f:id:gyama_d:20160206170820j:plain

f:id:gyama_d:20160206171023j:plain

 

ところで、この下の写真に写っているロウソクみたいなもの、何か分かりますでしょうか?聖堂内には一番大きな祭壇以外に、小さな区画で区切られた小聖堂がいくつもあるのですが、そこには聖人やマリア様などが祀られているようなのです。その脇にこういう装置があるんですね。ちょうどお祈りに来た、地元のおばあちゃんが「ほら、こうやるのよ、見てて」と20セントのコインを入れてみせてくれました。すると、ロウソクに模した電球がポッと点ったのでした。この儀式というか制度のこと、くわしくはよくわかりませんが、日本でもお寺に行くとロウソクを点す壇があったりしますよね。あれと同じものかという理解です。実際のロウソクを点すと、天井が煤だらけになって、美しい天井画が汚れてしまうわけで、こうやって電球を点すのならそれがない。それに寄付もできる。信心と合理性の融合みたいな、不思議なものを目にした気分でした。でも、先のおばあちゃんのように日常的に点している方がいるということは、少なくとも信者の皆さんには違和感のあるようなものではないんだということなのでしょうね。

よく観察してみると、小聖堂によって点っているロウソクの数にけっこうな差があるようです。言ってみれば、人気のある聖堂と、そうでない聖堂があるということでしょうか。それがはっきりわかるのが、面白く思いました。日本の神社にも、大小さまざまのほこらがあって、それぞれにお賽銭箱がありますけど、あれは入れている人には当然、その中身は見えないので、どこが人気なのかとかはわかりませんよね。それがカトリック教会だと可視化されている。考え方の違いとか、ねらいとかあるのかもしれません。ロウソクはどれくらいの時間・期間点いているのか、いつリセットされるのか?とか仕組み的に気になるところがあるのですが、そのことを聞けそうな人も説明書きもなかったので、退散しました。

f:id:gyama_d:20160206170933j:plain

さて、いよいよメインイベントの王宮へ向かいます。

(つづく)