スペイン旅行記(7)AVEでバルセロナへ

 前回まででマドリード編が終わりました。今回より旅行後半のバルセロナへ向かいます。

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 朝はタクシーでAtocha駅へ。ホテルの前には流しのタクシーが割と走っているので予約はいらないよと前日フロントで言われたので自分達で拾うつもりだったのですが、チェックアウトするのを見ていた勤務明けで帰宅しようとしていたスタッフが「何、今から駅?じゃ、拾ってとめておくよ!」というなり外へ出て止めて置いてくれました。ああいう行動を男前っていうんだろうなーと深く学習したのでした。

Atocha駅に着いてからは一階のカフェでサンドイッチで朝ご飯。その後二階に上がって、荷物検査と昨日の下見で得た情報を元に立てていた予定通りに行動できました。バルセロナまで乗車するAVEはスペインの新幹線で、チケットはスペイン国鉄のサイトから事前発券しておきました。クレジットカード払いで、チケットはPDFで予め印刷します。印字された二次元バーコードを係員がスキャンする仕組み。駅の窓口に並んだり、慣れない外国語で発券する手間がないのでこれはおすすめです。というか、AVEは事前予約がないとすぐに満席になるらしいです。

巨大な地下神殿のようなプラットホームへ。この景色はまさに壮観で、思わずおおーっと声が出てしまいました。ターミナルって感じです。

ホームへはフラットなエスカレーターで下りていきます。スーツケースとかの大きな荷物があってもこのタイプのエスカレーターなら大丈夫です。設置面積が大きくなるのが欠点かもしれませんが、日本でも新しい駅には導入してほしい設備ですね。

バルセロナのサンツ駅までは約2時間。車内は暗めの照明で落ち着きます。各席ごとにライトがついているのと、音楽サービス用のイヤホンジャックがありました。イヤホンは出発してすぐに配りに来てくれます(何かサービス品だと思って喜んで受け取ったらイヤホンだった)が、専用イヤホンではないので手持ちのステレオミニプラグなら聞けます。

車内販売もありました。朝、サンドイッチを食べたばかりだったのですが、すぐに小腹が空いてきたのでドーナッツとコーヒーを買いました。

iPhoneGPSで計測しているとAVEは常時300km/hくらいのスピードで走っているようなのですが、スペインの平野をつっきっているせいか、車窓からはすごいスピード出てるぅ〜みたいなことは感じませんでした。で、そんなことを思っていると「あ、自分は今スペインの平野にいるんだ!」と気づいて、ちょっと感動。ちょうど雨が降って、霧も出ていたので。何を言っているかというと「マイフェアレディ」という映画をご存じでしょうか。オードリー・ヘップバーン主演の。その劇中歌に有名な歌がありまして、それが"The rain in Spain stays mainly in the plain."。日本語だと「スペインの雨は主に平野部に降る」です。なんでこんな変なテキストとお思いでしょうが、これは英語の"a"の発音矯正にぴったりなため(オードリーヘップバーン演ずるイライザの田舎言葉を直す授業の1シーンで使用)です。

子どもの頃から両親がこのミュージカル映画が好きで実家で私もよく見ていたのですよね。だから、ほとんどの曲が頭に染みついているんですが、まさに自分はそのスペインで主に雨が降るという平野部にいて、しかも雨が降ってる!ということに気づいて、まさかあの慣れ親しんだ歌を実体験できるとはおもっていなくて感動した、というわけです。アニメやマンガの舞台を探訪することを聖地巡礼なんて言ったりしますけれど、曲にまつわる地を思いがけず訪ねることになったので、これも聖地巡礼かなーと思いました。マイフェアレディの舞台はロンドンなんですけど。

 

閑話休題。さて、バルセロナまであと15分くらいかーというところで、他のお客さんがぞろぞろ立ち始めて、荷物の支度を始めました。あれ、スペインの人はずいぶんせっかちなんだなーと思って見ていたら、どうもアナウンスをよく聞くともうサンツ駅に着くらしいとわかりました。え?と思いつつわれわれも身支度。結局、定刻の8分前に到着したのでした。日本と違って、列車が遅れることがあるなんてのはヨーロッパではよく聞く話でしたが、まさか早着するとは思いませんでした。いったい、どういう運行管理をしてるんだろうとちょっと疑念が。。新幹線のように5-10分間隔の運行ではないので、支障ないんでしょうね(たぶん)。

さて、バルセロナに到着して思ったことは「暑い!」でした。2015年の冬は日本と同じくスペインでも暖冬だったそうなのですが、マドリードは高地(700m)ということもあってあまりそれを感じなかったのです。でも、バルセロナは元来の地中海性気候の上に暖冬ということもあり、その温度格差にすっかり私の身体はやられてしまい、はっきりいうと気分が悪くなってきたのでした。幸い、バルセロナのサンツ駅にはマドリードにはひとつもなかった自動販売機があり、急いでミネラルウォーターを買い求めました。

とりあえず、身体を休めたいのもあり、昼ご飯は食べずにすぐにタクシーでホテルに向かうことにしました。

マドリード同様、バルセロナのタクシーはメーター制で旅行者には安全な乗り物でした。黄色と黒のツートンカラーなので、すぐにタクシーとわかります。バルセロナ滞在中は積極的に利用しました。というのもマドリード中心市街地はほぼ地下鉄でカバーされていて、観光だけなら地下鉄と徒歩で十分だったのですが、バルセロナは何しろ大都会。地下鉄だけでいける場所は限られています。昼間は地下鉄とバス、夜は安全のためタクシーでホテルへ直行というパターンが多かったです。

バルセロナのタクシーで注意が必要なのは、追加料金制度があること。空港とサンツ駅の乗り入れ、トランクに入れる荷物1個あたり、祝日、深夜料金などが加算されます。これらは後部座席にちゃんと料金表が貼ってあります。動き始める前にドライバーが手動で加算するので、下りるときはメーター料金と一緒に払います。あと、支払いは現金のみでカードは不可。チップは基本的にいらないそうなのですが、われわれはお釣りの分とかはチップとしてあげてました。あと、大晦日の深夜に乗ったときはご祝儀で少し多めに出しました。

バルセロナでとったホテルは"Hotel Primero Primera"。少し山よりで中心部から外れた住宅街にある閑静で落ち着いたホテル。徒歩5分のところにはカタルーニャ鉄道(地下鉄)の駅もあるので観光には便利でした。タクシーで15分くらいで着いたのですが、着いてそうそう、ちょっとしたハプニング(?)がありました。

(つづく)