日本民家集落博物館へ

豊中市服部緑地内にある日本民家集落博物館へ行ってきました。吹田のわが家からだとクルマで二十分くらいでいける近場でした。昭和31年(!)に開館した日本初の野外博物館で、日本各地にあった昭和30年ごろまでの民家が移築展示されており、国指定の重要文化財4軒を含む12の家屋があります。

一番目につくのはやはり白川郷の合掌造り。ご存じの通り、2階・3階では養蚕が行われていました。ここに移築されたあとも周囲には桑の木が植えられて、実際に養蚕実験が行われています(一番最近で2016年の記録が展示されていました)。

こちらは日向椎葉の民家。今の宮崎県の椎葉村にあったもので、合掌造りとは全然異なるつくりです。左右に広く部屋をのばし、縁側だけでなく家屋の内側にある「内縁」とよばれる廊下で結ばれています。内縁の幅は一間ほどもあり、縁側よりも広いのです。とても特徴的なつくり。ボランティアの解説員の方によると背後が山、目の前が川という環境に建てられたからだとか。

この椎葉村はご存じの方もいると思いますが民謡「稗搗節(ひえつきぶし)」のまさにその場所。平家落人の那須大八郎と平家鶴姫を歌った歌詞の素朴で哀愁深い歌詞で有名です。わたしが男声合唱をやっていた頃のレパートリーのひとつで、とても美しい旋律の編曲でしたので印象に深く残っています。そうかー、この家はあそこから来たのかーとしみじみ思いました。

うってかわってこちらは信濃秋山の民家。内部の写真を撮り忘れたのですが、居間に床張りをしないで土間に茅を敷いて生活する「土座住まい」という形態。初めて見ました。土座住まいは、いろりやかまどから来る熱を土がよく伝えるので暖が取りやすかったそう。確かに板間は冷えますんね。雪深い地方独特の形態といえます。

ご覧のようにひとくちに民家といっても地方によりさまざまな形態を有していてとても興味深いです。おしむらくはほとんどの民家が現地ではもう存在しないということでしょうか。生活様式が変わっているのだからこれは仕方がない。この博物館で手厚く保存されているのはありがたいことです(ちゃんと見えないように耐震補強されていたりします)。

そうそう、こういう古い建物は昨今の刀剣ブームや時代モノのコスプレに最適ですよね。そんなことを思って散策していたら、ちゃんと撮影会が行われていました。施設のいくつかは撮影他の目的で貸してもらうことができ、撮影のルールなどもウェブに掲載されていました。公営の施設としては珍しいとりくみかも。コスプレイヤーさんにとっても、博物館にとっても良いことかと。

服部緑地には運動場や公園があるため4カ所ほどの駐車場がありますが、博物館には第一駐車場が至近です。そのかわり第一駐車場は若干混み気味。さして離れていないところにある第三駐車場の方が狙い目かもしれません。最初の1時間420円、2時間まで520円、3時間まで620円という料金体系(2017.05現在)なので、ある程度遊ぶには近隣のコインパーキングよりも割安感があります。

博物館内には梅林やあじさいの他、樹木や花々も多いのでこれからの季節おすすめです。