はじめてのNATOベルト

時計のバンドをつけかえてNATOベルト(NATOストラップとも)にしました。ナイロン製(じゃない素材のものもある)で時計のバネ棒とバネ棒の隙間に通して使うバンドです。汗や水分、汚れにも強く、丸洗いできるので長持ちします。普通のベルトと違って、バネ棒を外す必要がないので、交換も簡単。素材がナイロンなので安価という特徴もあり、あれこれ付け替えて楽しむことができます。

わたしは汗っかきなので革のベルトだと夏場は特に傷みやすくて、それが長年の悩みでした。高めの時計の場合、ベルトもそれなりの高級な革が使われたりしているので、純正品の交換だとけっこう金額がきついし、そうじゃなくても時計と釣り合う革となるとやはり高めのものを選ばざるを得ません(安い革はそれなりの見た目なのですぐわかる)。なので、できるだけ元からついているものを長持ちさせたいのです。

革じゃなくて金属(ステンレス製、ブレスと言ったりします)のバンドにすればいいとも思いますが、実はあんまり持っていません。季節関係なく使えるのはいいんですが、革に比べると重いのです。手首がそれほど太くないので重いと負担になりますし、手首を返したときに皮膚に食い込んだりもします。あと、同じ型の時計の場合、どうしてもブレスの方が高くなるので、革ベルトを選択してしまうというケチくさい理由もあります(革ベルト交換を含めたトータルコストで考えれば、ブレスの方がお得なんですけど!)。

ということで素材としては汗に強くて、安価で、軽いというのが一番で、それを満たすのがNATOベルトでした。NATOはあの北大西洋条約機構のことですが、NATOではなく英国の軍備装備としての時計ベルトがまずあって、いろいろ経緯があってNATOベルトと呼称されるようになったとか。まぁ、元軍備品なので丈夫であることが第一というのは変わりないです。同様の素材としてはシリコンラバーがありますが、付け替えのしやすさと様々な時計への適合(ラグの形に依存しない)を考えるとNATOベルトの方が分があるなーと思いました。シリコンラバーは白っぽい汚れがつきやすいというのも経験上知っていたので。

NATOベルトは1つのベルトが途中で分岐してちょうど漢字の「人」のように2本に分かれる構造をしています。一方のベルトがバネ棒の間を通り、一方が手首に直接巻き付きます。そのため、時計の裏側と皮膚が直接に触れることがありません。ブレスの時計でも裏蓋の部分が汗でねっとりして気持ち悪いということはよくありますけど、それがなくなります。また、この時計と腕を別のベルトで固定する構造のため、手首が動いても時計の位置がずれにくくなっていることに気づきました。革でもブレスでももともと文字盤が視野に対して鉛直方向にあったのに、くるっと回って奥の方やあるいは手前になってしまって手で戻すという経験ありませんか?あれが防げるわけです。これ、地味にストレスだったのですよね。汗ですべって回るとベルトに汚れもつきやすくなりますから。かといって、ずれないようにきつく締めるともちろん窮屈です。NATOベルトならゆるやかに締めても、ずれない。汗に強いというのは素材上のことだけでなく、この構造からくる「ずれにくい」という利点でもあるのですね。

次に軽いという利点を確かめてみました。今回購入したNATOベルトの場合、15g。

対して、もともとついていたブレス(あ、今回は夏仕様で使っていたブレスの時計からの交換です)の重さは、なんと77g。6倍弱も違いますね。

NATOベルトと時計本体の重さが合わせて76gでした。つまりブレスとほぼおなじ重さ。実際、つけてみると「今まで訓練のために重しでもつけていたのか!」と思うくらい軽やかに腕が動かせるようになりました。

いいことづくめのように見えるNATOベルトですが、ナイロン製ということで表面は革に比べると少し固さがあります。長時間つけているときの馴染み具合は革ベルトの方が有利でしょうね。全体としてはしなやかなので手首には巻きやすいですが、表面の固さゆえ皮膚が弱い人はあわない可能性もありえます。同じNATOベルトの形状で他素材、革だったり、布のものもあるみたいなので汗はあまりかかなくて、でも時計がずれるのを避けたいという目的の方ならそれらもありかなと思います。

価格は今回買ったものはAmazonで500円弱でした(店頭ではあまりみないのでAmazonで購入)。見たところ、だいたい500-2000円弱くらいが主流で、革に比べると断然安いですね。逆に同じナイロンでそこまで価格差があるのはなぜなんだろう(ブランド?があるのかも)と気になります。デザインは単色やツートンのストライプが多いです。もともとの英国軍仕様がグレーとネイビーのストライプだった関係かな。

さて、NATOベルトに変えたのは通勤時にはめている時計なんですけど、ひとつ気がかりがありました。NATOベルト自体がミリタリーテイストで、それはフォーマルかカジュアルかというと、カジュアル寄りですよね。なので、スーツとかYシャツに合わないんじゃないのか?というファッション的な問題です。でも、これは杞憂でした。自分で実際に通勤でつけてみてもおかしくなかったし、写真検索するとフォーマルな服装でも、ものすごく違和感があるわけではない(もちろん色による違いはある)ことが見て取れました。ご存知の方もいると思いますが、映画007シリーズで初代ボンドのショーン・コネリーはロレックスのダイバーズウォッチにNATOベルトをつけたものをフォーマルスーツで見事に着こなしていました。当然、違和感なし(ただ当時としては斬新ではあったとは思います)。また、最新4部作のボンドであるダニエル・クレイグもオメガのダイバーズウォッチ+NATOベルトで登場しています(これは初代へのオマージュ的な意味合いかもしれませんが)。

 

今回、はじめてNATOベルトに変えてみて、これはいいもの!ということが実感できたので、もうひとつ夏用に使っているラバーベルトのダイバーズウォッチもNATOベルトにすべく、追加で注文しました。秋冬になってから、これらをブレスや革、あるいはラバーに戻すかどうかはこの夏のNATOベルトの実力次第だなーと思っています。秋冬でもNATOベルトの方がいいってなるかもしれません。夏本番はこれから、そして、何より過酷な環境である夏コミでの使用感がどうなのかが、ちょっと楽しみになってきました。