Nik Collectionでレタッチしてみる(iPhone、SONY α6300で撮影)

わたしはデジカメで撮影した写真は基本、カメラのjpgのまま(いわゆる撮って出し)で鑑賞して、flickrにアップするときもレタッチなどはしません。コミケで頒布している「近代建築探訪シリーズ」を作成するときは建築の細部をよく見てもらうため、シャープナーをかけたり、本全体で統一感を出すために明度・コントラストを調整するのですが、通常日常で撮っている写真はそこまでやりません。というのもめんどくさがりなんです。

デジカメにはjpg以外に、RAW形式といってフィルムカメラと同じようにPC上で「現像」する形式もあるのですが、一度RAW現像ソフト*を開いてわかったのですが、ものすごく作業できること(パラメータ)が多い。そのひとつひとつの意味をわかって、どういう写真に仕上げたいのかを考えて、という作業はかなり大変だと気づきました。ならば、カメラメーカーがはじめから工夫を凝らして「絵作り」してくれているjpgの方が楽だし、たくさん撮って、たくさん見るのが好きな自分の場合はjpgそのままの方がいいなと思っています。

*RAW現像をしなくても、jpgでももちろんレタッチといって画質を調整することもできます

と、ずっと思っていたのですが、これはなかなかいい感じで撮れたなーという写真がレタッチでさらに魅力的になる、あるいは平凡な感じの写真がぐっとよくなることにiPhoneのカメラアプリを使っていて気づいたのです。iPhone 7 plusを使っているんですけど、ある雪の日に撮った機関車の写真をカメラアプリ内の編集機能で、フィルターをかけてみたんですね。普通に撮るとこんな感じ↓でした(リアルタイムでかけたので、雪の降る具合が多少違います)

それを「ドラマチック冷たい」というフィルターをかけてみると、全体が青っぽくなって、雪が降る寒々しさが写真に出てきたのです。

同じ構図、同じ場所、同じ天候の写真でも伝わるもの、伝えたいものが変わってきますよね。雪の中でも暖かさを感じる光をメインにするのか、雪の寒さを強調する方向にするのかという違い。テーマが変わるのだと、いまさらながら気づきました(何年、写真趣味やってるんだろう...)。そして、いろいろ調整しなくっても、フィルターかけるだけなら、簡単なんだなーということも実感したのでした。

以来、気に入った写真に関して、jpgのままでもいいけれど、フィルターかけたら違う感じになるかもというのをいろいろ試しています。前置きが長くなりましたが、そのときに使っているのが、Nik Collectionというソフト群です。もともと写真のレタッチをするソフトでわりと高価だったのですが、Googleが買収して、なんとフリーダウンロードになったのです。以前、なんとなくダウンロードしていたのですが、まったく使っていなくって、上記のきっかけでレタッチソフトを探しているときに、もう持っていることに気づいた次第です。Win,Mac両対応。

Google Nik Collection

このなかでも、Analog Efex Pro、Silver Efex Proなどは、はじめからプリセットで「〜風」の写真にレタッチしてくれる機能があるので、細かい調整はせずに写真をいじれるのが便利で、よく使っています。トイカメラ風とか、フィルムカメラ風、湿版カメラなどがあり、さらにそれぞれ幾通りかのバリエーションがあります。細かい調整も可能ですが、Photoshopなどに比べると調整の幅は限られていて、だからこそめんどくさがりの人間にはわかりやすいです。

例えば、雨の日のコンビニの写真(α6300で撮影)。これは全体から印象的な部分を切り取ったのですが、このままでもいいけれどSilver Efex Proでフィルターをかけてみると、

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こんな感じに。モノクロにすることでシルエットを強調されて、傘を持っている人とその影がいい具合に浮き上がってきました。セピアっぽいモノクロ(フィルターにある)にすることで、暗くなりすぎないのも良かったです。

いろいろあるフィルターで、これだ!っていうのが見つかるというかハマる感覚は面白いです。一応、フィルターのなかで、明度やコントラストを多少調整もできるので、さらに追い込みたいという要望にも対応できます。

もう一つ例をあげてみます(こちらもα6300で撮影)。今度はAnalog Efex Proを使っています。

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もともとの写真は自動販売機の灯りが暗闇に浮かび上がるのが面白いなーと思って何枚か連続撮ったものです。たまたま自転車が通りがかった一枚が撮れたのですけど、PCで見るとほとんどわかりませんよね。あまり意図していなかったので露出が自動販売機にあわせてあるからです。撮ったときは気づきませんでしたが、ただ暗闇の自動販売機だけよりも、そこに別の何かがある方がアクセントになって良いなーと思いました。でも、アクセントになりそうな自転車はほとんど見えない。。それで、Analog Efex Proでいくつかフィルターを試してみました。

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クラシックフィルムカメラのフィルターにちょうどいいのがありました。コントラストがちょうどいい具合に調整されて、自転車の車輪の丸い光沢が見えるようになりました。自販機の灯りがメインだけど、そこに自転車に乗っている人がかすかに見えるという意図した感じの仕上がりになりました。仕上がりっていってますけど、調整的なことはしていません。フィルターをいくつか選んで、フィルターの効果度を決めただけ。一見すると、これはせっかく撮ったけれど失敗したなーっていう写真も、レタッチ次第で蘇って、お、これは良いなーという写真になることもあるのだと気づかせてくれました。

まだレタッチ(と呼べるレベルでもない)を始めたばかりですけど、そこから発展していって、今後RAW現像に手を染めるということはやはりないような気がしています。最初に書いたようにたくさん撮って、個人的に鑑賞するのがメインなので、作品を作ったり、個展を開くことを目的にしていないから、そこまでの手間はやはりめんどうなのです。だから、めんどうでない範囲での簡単レタッチができるNik Collectionは最適だと思っています。Googleからダウンロードできるので、興味のある方はぜひどうぞ。

なお、コミケで頒布している個人同人誌「近代建築探訪シリーズ」の製作で応用できるようなら使ってみようかなーとは考えています。