橋架けて、そして壊れる”Poly Bridge 2”!

リモートワークで通勤時間がないことや、休みの外出自粛でずいぶんと積みゲー(ゲーム)が捗りました。わたしはわりと集中と放置を繰り返してゲームをクリアすることが多いのですが、さすがに時間がたくさんあったのか、「デス・ストランディング」、「スパイダーマン」、「ライズ・オブ・トゥームレイダー」(2周目)を二ヶ月あまりの間に一気にクリア。ストーリーをクリアしてからも楽しめるオープンワールドのアクションゲームが好きなんですよね。さて、そのあとにまさにハマっているといっても良いゲームが"Poly Bridge 2"。前述のゲームはPS4ですが、こちらはMac OSでやっています*。

*前作Poly BridgeはiOS,Windows,Nintendo Switchもあり。2はWindowd,Macが発売中

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Poly Bridge 2は橋を架けて対岸にクルマを通すシミュレーターゲームです。クルマやバイクなどの重さと速さが決まっていて、それらが一定の距離にかけられた橋を渡るときの橋の各部の荷重を物理演算しているのだそう。なので、物理的に無理がある構造の橋を作るとクルマが渡った瞬間にフォーリングダウン!崩れます。それどころか「クルマが渡り始める前に」橋自身の自重を支えきれずに壊れることも。

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これがエディット画面で、茶色っぽく見えるのが道路の材料で、黄色い部分が木材の支柱、赤い点が荷重をかけてもOKな支点です。基本的に荷重を支える構造は三角形の組み合わせのトラスやアーチなのでその構造を組んでいきます。

ゲームの要素として、道を含む構造材はmごとに値段が決まっています。そして、1ステージごとに予算設定があります。同じシチュエーションでも橋の架け方(構造の違い)によって値段が変わってくるので、いかに安い値段で橋を架けられるか、もちろんクルマが渡っても壊れないかを競うのです。無事、クルマが橋を渡りきると他のユーザーがいくらの値段で橋を架けたかと順位が表示されます。これは結構な刺激でして、上位ユーザーを見ると「そんな安い値段でどうやって架けるの??」っていうのもあって、負けてなるものかと。

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ちゃんとステージが始まる前にチュートリアルがありますけど、ほぼ100%壊します。見事なまでに橋は落ちます。面白いくらいに壊れまくります。そしてかなりの割合でシミュレーションが始まった瞬間に自重で落下、分裂、崩壊します。見事なくらい壊れまくる橋は珍プレー好プレー集みたいです。作って壊しているのは自分自身なのですけど、橋が壊れてクリアできない絶望よりも、はははははという笑いが先に出て、よっしゃー次は壊れない橋を作るぞ!と延々とトライ・アンド・エラーが始まります。ゲームの構造的にハマるようにできているのです!

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一番最初に載せている写真の予算削減版です。構造材を少なくしています。赤い支柱は鉄骨です。鉄骨は重くて値段も高いですけど長いスパンが取れること、引張にも圧縮にも強い材料なので効果的に使うと逆に予算を減らすことができます。

赤いシルエットはここを船が通るよという意味。なので、船に接触しないように通さないといけません。

しかし、この削減版は惜しいところで橋が崩れました。失敗すると、エディット画面に戻り「最初に壊れた箇所」が赤枠で表示されます。ここから構造を改良するヒントを得るのです。このゲームをはじめると「橋の構造」「橋の物理」がやたら気になって、専門のウェブを調べてしまうこと請け合いですが、この例だと左右からの圧縮に構造材が耐えられなくなったっぽいです。橋が壊れるときのアニメーションも物理演算の結果を反映しているので、「引っ張られて」壊れたのか、「圧縮されて」壊れたのかの観察が重要になります。

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最初に壊れた箇所(道路)を少し傾けてみました。これによって左右からの圧縮が他の材料で分散され、荷重をへらすことができた結果クリアできました。ほんのわずかな違いで橋が壊れないというところが面白いのと、なぜその違いが生じるのかがわかってくるとさらにおもしろくなってきます。闇雲に構造材を組んでも渡れる橋は一向に作れないのです。

ですが、クリア例の予算を見るとどう考えても予算が少なすぎるユーザーがいます。これは「クルマは対岸に渡れるけれど橋は壊れる」パターンがほとんど。はーーー、よくそんなことを思いつくなぁと半ば呆れるんですけど、ゲームの目的からすると橋は壊れても構わないわけです。そして、それも物理演算の結果を利用していることに変わりなく、クルマが移動できる間だけ構造を保てればいいというわけ。何も考えずにそんな橋は作れないのも事実なので、それもアリなのです。

順位表には「破壊を除く」というチェックボックスをつけることができます。よしよし、橋を架けるなら崩れないって当たり前だよな...って思うと、え?それでもこの予算で実現??ということがあるので世界は厳しいのです。

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予算削減そのものをテーマにしたステージもあります。予算を考えずに堅実に渡れる橋をまず作ってみます。クルマが渡れるのが目標。予算$10,500に対して$12,989。もう一声です。ここからの作業は「まずはどこの構造材を削るか」になります。物理的に余裕のあるポイントを探して、そこの構造材をカットするわけです。もうひとつのやり方は「構造を見直す」です。同じトラス構造でも、三角形の辺の長さを短くできれば予算は減らせます。強度を維持しつつ、形を少しずつ変えるのです。

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結果、これがわたしの今のところのベストです。トラスの中に短いアーチを組み合わせて荷重をバランスさせています。$9877で予算クリア!これは自分でも美しいなぁと思います。予算を減らしていくと構造は単純化していく可能性が高いです。そうすると見た目的には特徴のない橋に収斂しがち。クルマは渡れるけれど、美しくないな、もっと美くしくて強い橋はできないかなという次なる欲望のはじまりです。

このゲーム、予算オーバーでクリアしても別に構いません。各ステージは他のステージのクリアがなくてもチャレンジできます。予算無制限のオプションもあります。予算を減らして順位を競うというのは遊び方の一つであって、自分のこだわりを試すことも可能になっています。

各ステージには他のユーザーがどうやってクリアしたかをアップしたギャラリーが用意されていてそれを見ることができます。自分の力でクリアしたいというときは見ない方が良いと思うんですけど、一方で他の人はどうやってクリアしたのかというのは気になるところ。でもね、やっぱり見ない方が良かったというときがあります。なぜなら、凹むから。こ、こんな構造で橋を架けられるのか...天才すぎる…自分は正攻法でしか架けられない...って思うことがほとんどだから。発想の違いを思い知らされるのです。さきほどの「破壊前提」の橋だって、よく思いつくなぁという点では凹まされますし。

 ステージをたくさんクリアするのも良し、予算にこだわるのも良し、発想の柔軟さを求めるのも良し。わたし個人は、「1、クリアできる橋をまず作る」「2、予算は達成する」「3、別の構造のバリエーションにチャレンジする」という遊び方をしています。

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あるステージのわたしのバリエーション例です。これはかなりの自信作!油圧シリンダーを使うことができるステージで、通常は「跳ね橋」を作ることが想定されています。ですが、わたしの橋は「開閉橋」です。船が通る部分の幅のみ左右に開く稼働を片側二本の組み合わせ油圧シリンダーで実現しています。もちろん、構造的にクルマ(このステージはバイク)が通っても壊れませんし、ステージ予算もクリアしています。

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各ステージのシミュレーション画面は3D動画で保存でるので、御覧ください(スペースキーで動画再生)。動きがある橋って現実世界にもありますがかっこいいですよね。

Poly Bridge 2の楽しさを紹介してきましたが、負の側面もお伝えした方がいいでしょう。トライ・アンド・エラーのスパンが短いので、とにかく何度も何度もチャレンジすることになります。するとあら不思議。知らない間に2−3時間経っています。悪くするとまだ1ステージもクリアしていなかったり。恐ろしい時間泥棒なのですよ。これではゲームを楽しむとは言い難い。なので、さっき書いたわたしのルールを思い出してください。繰り返しになりますが、「1、クリアできる橋をまず作る」「2、予算は達成する」「3、別の構造のバリエーションにチャレンジする」。1は頑張ればできます。ここで次のステージに進むのがおすすめです。ステージごとに課題が決まっているので、それをクリアしていくうちに予算削減のコツや、構造の作り方のコツがつかめてくるはずです。別バリエーションを作るのはそれからでもいいんです。どのステージをいつやるかに制限はないので。

もうひとつ注意点として触れておきたいのがマシンパワーです。物理演算をしているので、Mac/Windowsの演算能力が高い方が良いです。しかし、マシンパワーが低いPCでも環境設定画面で「解像度」や「シェーディング」などの3Dグラフィックのレベルを落とせば、十分動かすことができます。ほのぼのとした3D画面なので解像度の高さはあまりゲームの面白さに影響しません。わたしのマシンはMacbook Pro (2012,MID)で、かなり古いものですが十分遊べています(でもCPUファンはすごい回る)。

Poly Bridge 2をやりはじめて以来、たまに出社する途中でみかける鉄道橋や自動車橋の構造が気にになって仕方ありません。現実に存在する橋は「崩れていない」からです。あの形なら「崩れない」のか、メモメモ...という具合。

Mac/WindowsのプラットフォームはPCゲームサイトSTEAMです。前作、Poly Bridgeも発売されています。

https://store.steampowered.com/app/1062160/Poly_Bridge_2/