友人の佐々木ひろ子さん(声楽家・ボイストレーナー)のボイトレの門下生による発表会に撮影係として参加いたしました。チェンバロとのアンサンブルで、心湧き立つ演奏が多く、春らしい高揚感に満ちた1日でした。チェンバロは澤朱里さんによる演奏。13人ものソリストとつぎつぎに音を合わせていくって、並大抵のことではないはずですが...。
そういえば、前回まで書いていた「合唱演奏会舞台撮影のノウハウ」がまだ完結していませんが、今回の撮影で「室内楽アンサンブルにおけるソリストの撮影ノウハウ」も書かねばなーと思いました。いや、室内楽アンサンブルを撮影するのは実ははじめてで、大きな舞台での合唱団撮影とは共通する撮影ノウハウもあるけれど、つぎつぎと入れ替わる多人数のソリストを撮影するには、より多くのメソッドが必要だと思ったのです。偶然通りかかった人なら、「心のおもむくままシャッターを切る」で良いのですが、記録写真としてはいかに漏れなく効率よく撮るかも重要で、それができていないとソリストの個性まで写すなんてことは難しいです。頭で考えないで済む部分を十分積み上げておいて、そのうえで頭というか目で考えて撮ることが成立する、ような気がしました。えらそうに書いてますけど、自分で勝手にメソッド作りながら撮影していたので、撮影開始と最後の方では雰囲気が違っているかもしれません。。
あと、普段はサブで使っているSONY RX100をモノクロ専用にして撮ったのですが、これが良かったような気がします。というか、撮影後にPCで見たとき、純粋にレンズの性能だけ見るとメインで使ったズームレンズに対して、RX100のVario-Sonnarは恐ろしいくらいのキレッキレの画質で、RX100をメインにしても十分かもしれません。やはり高級コンパクトカメラをなめてはいけなかった。
ところでチェンバロというと古い楽器=古くに作られたもの、古いものしか存在しない希少なものというイメージでしたが、このチェンバロは1999年製のようです。個人のビルダーの方が作っておられるようで、AKIRA KVOTAの銘が入っておりました。おそろしく手間がかかるゆえの希少さはあると思いますが、現代でも作成はされているのですね(需要もちゃんとあるのかと)。
あらゆる箇所にテクスチャが入っていますが、不思議と調和の取れた美しさです。昨今の美術工芸品のミニマルな装飾に慣れた目からは返って新鮮に感じられるものでした。
チェンバロとソリストという演奏をきいていると、耳や脳の普段使っていない部分が刺激され、自分がいかに近現代の合唱曲ばかり耳に入れているかということを痛感したり。知らず知らず、音楽の幅を狭めていたという気がします。