前回はレコードの音質向上のために針交換をするところまで書きました。音質向上という意味では再生機器をグレードアップする方法とメンテナンスの2つに分かれると思います。CDではほぼ不要であった後者が実は結構重要でしたので、そのお話をします。
プレーヤーを最初に買ったときにヨドバシの方に「レコードクリーナーは要りませんか?」と聞かれたので、んーよくわからないからいらんかと買わなかったのですが、これは靴屋さんが言う「撥水スプレーは要りませんか」と同じくちゃんと聞いておいた方が良い言葉でした。レコードを聞いているうちに急に雑音が増えたり、音がもやっとして不明瞭になることがあって、ほぼ原因はホコリだったのです。部屋に漂っているホコリがレコードに吸い寄せられてきて、それがレコード針にひっかかっているのですよね。どんなに部屋をきれいにしてもホコリはなくせないので、レコードを聞く上ではホコリをつきにくくする、ホコリを除去するためのメンテナンスが必要だとすぐわかりました。これってけっこう面倒なんですが、これもレコードを聞くためのお作法の一貫だと思うとだんだん慣れてきて、その時間も含めて面白いなーと思えます。
なお、わたしはスプレーを使うのは買ってきて最初の1回だけにしています。今のところ。毎回する必要はたぶんないです。クリーナーでのホコリ除去は気になったときにやります。
(1)レコードスプレーとレコードクリーナー
後日、京都の十字屋でレコードを買うときにクリーニングスプレーとクリーナーを買いました。スプレーはレコードの表面に噴射してゴミや汚れを除去するもので、クリーナーはそれを拭き取るものです。スプレーには「静電気除去効果」「耐摩耗性向上」が謳われているので、効果を信じるならホコリがつきにくくなって長持ちするはず。
クリーナーの方は扇形で裏側はフェルト起毛がついています。これでレコードの表面や溝のホコリを拭き取ります。
さて使い方としてはレコードの盤面から30cm離してスプレーを噴射したあと、盤面にクリーナーをおいて時計回りに回しながら拭き取ります。レコード自体は反時計回りに動きますので針は時計回りに動いていくわけで動いていく経路にそって拭き取るわけです。で、これは使用説明に書かれている方法ですが、実際困ったことがいくつかありますのでノウハウを記しておきます。
1,噴射の距離感が難しい
→近すぎるとムラになってレコードに跡が残る。適度に離す。溝が刻まれていない部分に噴射するのも跡になるし、無意味なので噴射範囲が難しい。これは慣れしかないかも
2,スプレーに独特の臭いがある
→マスクして換気の良いところでやった方がいい
3,レコードをどこに置いてクリーナーを動かすのか
→レコードは両面あるので片面をクリーニングするとき、もう片面は床側にあるわけで裏面を傷つけたりホコリがつかないようにするために柔らかくてホコリがつかない場所で固定する必要があります。正しいのかどうかわかりませんが平らな床に新聞紙を敷いてその上にレコードを置いてスプレーを噴射→ターンテーブルに乗せて、回しながらクリーナーで拭き取る、ということをやっています。ターンテーブルを手で回すのはベルトドライブ式ならともかく、ダイレクトドライブ式はダメな気がするので、専用の回転台みたいなのほしいですね
4,クリーナーを動かすとき固定する手をラベルの上に置くと手の脂がラベルについちゃう
→ラベルの上に別の紙を置くか、手袋をする。最近はめんどうなので手をよく洗ってからやっています
5,スプレー後の拭き取りが甘いと音の輪郭が甘くなる
→これは何度か経験しています。二度拭きで解決。スプレーはアルコール溶液で揮発性が高いですから、本当はよく乾かせばいいのに拭き取ってすぐに聞くよりいいのかもしれません。この辺はまだ自分のノウハウが少ない…
*新譜の場合は基本的にキレイなのでクリーニングする必要はないですが、静電気対策のために最初にやっています
(2)スタイラスクリーナー
レコードの針先にゴミやホコリがついたとき、息で吹き飛ばすようにしてましたがひっかかってなかなか取れないんですよね。そういうときに使うのがこのクリーナーです。普段は容器中のアルコール溶液に浸かっているブラシを取り出して、針先を奥から手前になぞってゴミを取ります。ちなみレコードの針って目に見える金属の部分はカンチレバーといって、その針先にスタイラスという(チタン+ダイヤモンド、あるいはダイヤモンドのみ)ものがくっついています。この部分が溝と接触して音を拾うのです。ゴミが引っかかりやすいのはこの部分で、指や尖ったもので触ると破損してしまうのでクリーナーを使うわけです。
クリーナーを使うときに注意するのはアンプやプレーヤーの電源を切っておくこと。でないとクリーナーのブラシが触れたときにボッと大きな音が出ます。レコード針は物理的にレコードに接触する部品で、その動きそのものが音になります。カートリッジとフォノイコライザーとアンプでそれを増幅しているだけなのです。
レコードがアナログレコードとわざわざ呼ばれるのは、この音の刻まれたところからスピーカーで出るところまでの経路がすべて連続につながっているからでしょうね。だからその経路上で如何に雑音が入らないようにするのか?がレコードの音質の向上方法であり、その改善方法は無数にあるわけです。
(3)その他のホコリ対策
レコードスプレーとクリーナーで静電対策をしていても、どうしても大きなホコリは空中に浮いているので、目に見えるものはブロアで吹き飛ばしています。これは写真用品なのでレコード屋さんにはたぶん売ってないです。
静電ホコリ取り。これはレコードプレーヤーの透明なフタについたホコリを払うのにつかっています。レコードそのものに帯電しなくても、レコードプレーヤーそのものは帯電しやすいからフタの内側や外側にどうしてもホコリが付きやすいのです。これも写真用品です。レンズについたホコリを取る用なので柔らかくて対象物に傷をつけないようにできています。
だいたい以上が普段のメンテナンスです。レコードスプレーとその拭き取り方はもうちょっと研究したいと思っています。。
次回は音質向上のノウハウをいったん離れて、レコード自体をどこで買うのかの話を軽くしたいと思います(深くは知らないので、あくまで軽めの話)