久しぶりの紙モノ(阪急うめだフランス展にて)

阪急百貨店うめだ本店で開かれているフランス展に行ってきました。知らなかったのですけど、もう20年近く毎年開催されているイベントらしいです。阪急うめだの祝祭広場を中心に雑貨マルシェみたいな形で、お菓子・ワイン・服飾・雑貨・アンティークのコーナーが細かく広がっています。雰囲気的には「のみの市」をめぐっているような感じ。わりと見ているだけで楽しいです。そんななか、ちゃんと紙モノ販売のお店が3軒もあったのはさすが阪急。紙モノというのは古い広告ポスター、マッチラベル、切手、ボタニカルアート(植物画)、新聞、雑誌、チケットや半券などなどをまとめてそう呼び、古書店やアンティークショップで扱われることが多いです。わたしもよく東京南青山の古書日月堂にお世話になっています(2年ほど行けてない...)。

それってなんで買うの?そもそもなんで売り物になるの?って思われる方もいると思います。ひとにもよると思いますが、資料的価値のあるものとして収集したり、コラージュの素材として使ったり、額装してアート仕立てにして飾ったり、あるいはもっとプリミティブに自分が気に入ったものをなんでも宝箱にしまうように「形のいいもの」「印刷がきれいなもの」「書体がいいもの」を集めたりするのです。値段も100円くらいから、数千円から数万円レベルまで。その紙モノ、日本の古書店やアンティークショップの主な仕入先がパリらしいです(日月堂の店主は数年に一回行っていらっしゃる。もちろん、日本の古書店卸の競売とかにまとめて出ることもある)。

今回のフランス展では主に雑誌広告の切り抜きとポスター、ボタニカルアート、版画(バルビエの版画もあったけど、6万円くらいなので予算オーバー←予算があれば買う気十分)が扱われていました。雑誌広告はだいたい2000円、3000円、8000円くらいで区切られていて、洗剤やお菓子などの日用品、宝飾、クルマなどがメイン。そのなかで特異だったのが、今回買った古代ギリシャ歩兵が描かれたもの。これ、何の広告かおわかりでしょうか。じつはクスリの広告です(コルチゾンという抗炎症・抗アレルギーの治療に使われるお薬)。

お店のひとによると、フランスの広告の中でもクスリの広告は他のジャンルに比べて極めてアート性が高くて、印刷もきれいなものが多いとのことでした。確かにこの古代ギリシャ歩兵のデザインや色遣いはすごく目を引きます。たぶん石版画。いや、しかしなんでクスリの広告にそこまで凝るんだろう。。と思わないでもない。1950-70年代のものらしいんですけど、ちょっと謎。クスリは効果が直接目に見えない商品だから、比喩的な表現で訴える必要があったのはわかる。そう考えると現代のクスリの広告もイメージ戦略(俳優さんやタレントさんを起用)という点では変わっていないか。ただ、優雅さという点ではやはり古い広告の方が洗練されている気がします。現代のクスリの広告は散文的ですよね。良いのか悪いのか別にして。

さて、紙モノを買ってきて、わたしはどうするかというとだいたい飾ります。こまいやつは宝箱に入れてときおり愛でるだけなんですけど、やっぱり美しいものは毎日見たい派なので見栄えのするものは部屋や廊下の壁に飾るのです。

画家ミロコマチコさんのトートバックを飾っている横に貼りました。額装しなくても、すでに紙の台紙に留められてビニールに入った状態だったので、そのまま両面テープで貼り付けましたが、LPジャケットを壁に飾るみたいな感じになりました。「1965年にグラミー賞を獲ったときの記念のレコードさ」とか言ってみたい(獲ってない)。

そういえば、以前CDの紙ジャケットを額装して飾ろうって書いていましたね。まだ飾っていないのですが、ちょうどいい額装の手段を帰りに寄った東急ハンズで見つけたので、そろそろ手をつけようと思っています。

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