古墳クッション!(2015/06/28の記事を発掘再掲)

(まえがき)何気なくfacebookを見たら、2年前にこんな記事をあなたは書いてたよーという通知が出ていました。2年前の6月末から7月初めごろというと、まだこのはてなブログでは書いていなくて、レンタルサーバーを立てて自前のブログを書いていて、そこにも同じ記事を書いたような気がします。その直後くらいに確かレンタルサーバー側の問題で2年分の記事が全部吹っ飛んだので、読めなくなっていました。せっかく発掘できたので、ここでは初出ということもあり、再掲(一部加筆修正)いたします。読んだことのある方はすいません。

では、どうぞ。

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でーん。これが古墳クッション。奈良の椅子張り職人、宇宙椅子フクトククニヲさんが作製されています。以前、イラストレーター・漫画家の水谷さるころさんのブログを読んでいて、このクッションのことを知りました。一点一点手作りなので、売り切れるのが早く、奈良の一部のお店の直売か、通販にしても予約待ちが多かったと記憶しています。当時も欲しいと思ったのですが、手に入れられずあきらめておりました。それから幾年月経って、何日か前、何かの拍子に「古墳でこーふん協会」という古墳巡りを愛好する人たちのウェブを目にして、当然ながら古墳クッションにも触れられており、ふたたび私の脳裏に「欲しい~」という欲望が芽生えました。

古墳でこーふん協会から、宇宙椅子さんのウェブへ飛んでみると、なんと6/26,27と大阪で即売をやられるという情報が載っていました(注:2015年当時の情報です)。即売なら確実に手に入るはず!と思って、その場所を調べると「LICはびきの」という会館でした。はて?なんで羽曳野?そう思って、行き方をgoogle mapで調べはじめて驚きました。

なんと、古墳だらけ!地図で見えているだけで8つもありますが、この羽曳野、藤井寺の辺りだけで45基も現存するそうで、古代には120基近くあったそうです。これらを古市古墳群と呼び、堺の仁徳天皇陵付近と同じく古墳が集中する地域だとか。これは古墳クッションを買うためだけに行くのはもったいない、ぜひともその足で古墳巡りをしなければと思い、京都から2時間かけて近鉄南大阪線藤井寺駅に降り立ちました。

宇宙椅子さんのブースで、開店と同時に緑色タイプ(つまり現在の古墳の状態)の前方後円墳をゲット!これから、古墳巡りをしてみようと思っていると話すと「最近は、墳活と言うそうですよ」と。墳活!で、LICはびきのから歩いて5分のところにある「白鳥陵古墳」へやって来ました。

 

おおー、これが古墳。子どものとき社会科見学で仁徳天皇陵へ行って以来です。仁徳天皇陵は大きすぎて、形が全然わからなかったのですが、このサイズだとわりとはっきり前方後円墳の形が見て取れました。で、この白鳥陵はなんと日本武尊ヤマトタケルノミコト)の墓所との伝説があります。そもそも、ここ羽曳野の名前が日本武尊に由来するのだそう。

日本書紀などによると「日本武尊は遠征の帰り道、伊勢の能褒野(のぼの)で亡くなり白鳥となって大和琴弾原(ことひきはら)を経由して古市に飛来し、また埴生野の空を向かって羽を曳くように飛び去った」と伝えられ、本市の名前の由来となっている古墳です。』(羽曳野市HPより)

なんと由緒のある名前だったのですね、羽曳野。


古墳クッションを手に入れた喜びで自撮りの記念撮影をするも、これだとどこだかわかんないですな。

さて、ひとつ地理・歴史の知識が増えたところで、ここからいくつか回ってみたいと思い、その後応神天皇陵へ行きました。

ここには立派な遙拝所があります(すぐそばに、古墳を管轄する宮内庁書陵部もあり)。と、いうかここからだと古墳だとわからない。あまりにも大きすぎて、ほぼ山みたいに見えます。体積では仁徳天皇陵も大きいのだとか。

次に、一応事前に調べていて、実は一番見たかった古墳がこの側にあるので、そこへ向かいました。

ここは赤面山古墳、円墳です。応神天皇陵の何百分の一にも満たない大きさですが、立派な古墳。それにしては扱いがヒドイ感じですよね。ただ、こうなった経緯は面白読み物サイト、デイリーポータルZ大山顕さんが記事にされています。
portal.nifty.com

この記事は少し前に読んでいたのですが、まさか実際に行くことになるとは思ってもみませんでした(なので大阪のどこかだろうけど、羽曳野だとは認識していなかった)。だって、古墳ぽくないし、記事自体は面白いけど、場所が遠いからと思っていました。でも、この前にいくつか古墳を見て回り、そのあとでこの古墳を見ると、なにか感慨深いものが沸き起こりました。大山さんが指摘されていますが、古墳を守るためのカーブ、そしてロングスパンの橋脚(そしてそのためにアーチになっている)とかを目にすると、現代土木技術が古代の土木技術を救うために頑張っている!みたいな構図になっているからだと個人的には思います。

この辺りの市町で、これら古墳群を世界遺産に推そうという運動があるらしいのですが、今日56基の古墳を見ただけで、その価値は十分あると思いました。だって、エジプトのピラミッドなんかに比べると、だいぶ世紀が下りますが、これだけ集中して存在し、かつ人工物なのに里山のように人々の暮らしに溶け込んでいるのに、その畏怖性は保持されているというのは、なかなか他に例がないんじゃないでしょうか。

いやー、古墳クッションへの物欲のはじまりから、とても面白い体験ができました。

 

(おまけ)

古墳クッションは、阪急のシートととてもよく似た素材でできています。入手したら、ぜひこの構図をやってみたかった!

 

追記(2017/07/05)
古墳クッションの情報は下記の「宇宙椅子」さんのサイトをご覧ください。

宇宙椅子 cosmic re-chair