病気のときほど、なぜか読書熱は冴えます。最近読んでいる本・買った本を書いてみます。はてなブログの機能でアマゾンへのリンクが張れるので試していますが、これをクリックするとアフィリエイトみたいなのが私に入るのかどうかは、よくわかりません。では、最近読んでいる本から。
○森博嗣著「すべてがFになる」(Kindle版)
少し前にドラマ化されて、この秋にアニメ化されたのを機に、通勤時間に再読しています。作者の森さんは工学部の教授を最近まで務めてらして、その理系的思想が随所にあふれています。このタイトルの意味は物語の終盤に明らかになりますが、ばりばりの文系で、プログラムとかできないよーという人にはいまいちピンと来ないかもなーって言うのが初読の時の感想でした。
○オーサ・イェークストロム著「北欧女子オーサが見つけた日本の不思議」1,2
スウェーデンからやってきたグラフィックデザイナーの卵、オーサの日本での日常を描いたコミックです。マンガ家の速水螺旋人さんのtwitterで紹介されていたのを見て、妻に買ってきてもらいしました(風邪で寝込んでいたので)。
オーサはスウェーデンで日本のアニメの放送を見て、漫画家になる決意をし、本国で漫画を出版したあと、来日。日本でグラフィックデザインの勉強をされています。まず、その決意と実現力と実行力がスゴイです!
異文化コミュニケーションのギャップを描いた漫画は、古くは「ダーリンは外国人」(そんなに古くない?)や最近では「中国嫁日記」が有名で、ジャンルとして根付いていますけど、北欧の人の視点はそれはまた新鮮なものがあります。他の本と違うのは、セクシャリティーや性差などの捉え方でしょうか。スウェーデンは男女平等で、やや保守的で、でも性にはオープンで、だからなのか日本の恋愛観とかに驚いてはるようで、それを結構赤裸々に描いてはります。
面白いのは、スウェーデンに帰省したときのオーサがまるで異国に来た人のようになっているところです。チーズ製品やがっつりした食事にお腹の調子をくずし、公共交通機関のサービスの悪さを感じたり。それだけ日本に馴染んでしまったいうことかもしれませんが、日本を礼賛するというわけではなく、例えば日本の過剰なサービス(例としてお礼の言葉)を「ほとんどいらない情報」と描いてみせるなど、とてもニュートラルな視点をもってはると感じます。
北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 作者: オーサ・イェークストロム
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北欧女子オーサが見つけた日本の不思議2<北欧女子オーサが見つけた日本の不思議> (コミックエッセイ)
- 作者: オーサ・イェークストロム
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ここからは、最近買った本です。まだちょろっとしか読んでません。
○レオ・ペルッツ著「聖ペテロの雪」
平凡社ライブラリーさんのtwitterをフォローしているのですが、たぶんそれでリツィートされていた新刊情報が目に留まって買ったと思います。国書刊行会さんと平凡社ライブラリーさんは仲良しみたいです。こういうヨーロッパを舞台にした謎物語とかにはとても惹かれるものがあって、それはたぶん高校生くらいの時に「フーコーの振り子」を買って以来だと思います。その「フーコーの振り子」自体は、難しくて読み通せなかったんですけどね。今なら読めるかな。
以下は、今日買った本です。風邪のリハビリがてら千里中央の田村書店まで出かけて買ってきました。アマゾンのリンクを張っておいて言うのもなんですが、 書店へ行くというのは常に目的があっての行為じゃない気がします。まだ見知らぬ本と偶然の出会いを果たすためにある、そういう場所ですね。書店は。だから、この本を買うって決めていても、その本じゃない本を買うこともある。そういうのが楽しい(そして、散財する)と思えます。だから、調子の悪いときに書店へ行くと回復したりすることがあるんです。脳からなんか出てるんでしょうね。
○河西秀哉著「皇居の近現代史 開かれた皇室像の誕生」
著者の河西さんは象徴天皇制を専門とする歴史学者で、神戸女学院の准教授をされています。河西さんとは同じ合唱団で歌った仲間で、この本の出版も河西さんご自身のtwitterから知りました。単著は2冊目で、ご活躍を嬉しく思っています。合唱団の仲間も結構、著書を買っているようです。
象徴天皇制については、天皇や皇后、皇族の人物像や社会情勢に焦点を当てた論法が主なんだろうと思っていたのですが、「皇居」という場所を切り口にされている点が新鮮です。かつて自分の同人誌(近代建築の写真集)にも書いたのですが、「場」や「建物」が持つ力の大きさを軽んじてはいけない、ということを思い返しました。読むのが楽しみです。
皇居の近現代史: 開かれた皇室像の誕生 (歴史文化ライブラリー)
- 作者: 河西秀哉
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○多田将著「すごい実験」
ニュートリノ研究で東大の樫田さんがノーベル物理学賞を取られましたが、その研究に欠かせない高エネルギー加速器について解説した本。著者の多田先生は金髪の学者さんということで有名な方です。
つい先日、実家に帰ったときに母が「宝くじが当たったら、1億円は山中教授のIPS研究所に寄付する」と豪語していて、臨床医家らしいなと思っていました(母は開業40年の鍼灸師なのです)。その話に引き合いとして「あんな東大のでっかいなんとかって装置とかにお金かけ過ぎではないか」という話が出たのです(母が言っていたのはたぶんスーパーカミオカンデのことだと思います)。世の中の大半はやはりそういう見方なのかと想像すると、ちょっともやもやしました。同じノーベル賞で何億人の命を救った薬の開発をされた大村さんの方がより話題性もドラマ性もありますしね。
でも、そのもやもやをうまく解き放ってくれる話がこの本の冒頭にありました。多田さんが感動した言葉として紹介されているもので、ここに孫引きさせてもらいます。やはりノーベル賞を受賞されたカミオカンデの推進者小柴先生がNHKに出演されたときに語られた言葉です。
「かつて電子が発見されたとき、それが何の役に立つかわかる者は誰一人としていなかった。しかし現在、我々の生活の中で、電子(=電気)はなくてはならないものになっている。ニュートリノも、今は何の役に立つのかさっぱりわからない。でも、何十年後、あるいは何百年後に、電子と同じようになくてはならないものになっているに違いない」
これぞ、基礎研究の本質ですよね。
○柴田元幸責任編集「MONKEY」vol.7
この本は翻訳文学などに関する文芸誌で、今号は村上春樹と柴田元幸の対談、川上未映子による村上春樹インタビューが掲載されていたので買いました。村上春樹の語る言葉が好きなんです。平易な言葉で、本質をとらえた発言をする村上さんのような人って、今はあまりいないような気がします。あ、内田センセイとかもそうかな。造本がいいのもあって、気に入って買いました。
こんなところです。