Tokyo Day 1:「ブラジル先住民の椅子」展観覧@東京都庭園美術館

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コミックマーケット94に一般参加するため、本日から東京入りしました。午前中は美術館巡り、午後は妻に頼まれた同人誌を買いに行く予定で、まずは目黒にある東京都庭園美術館へ。日本でも有数のアール・デコ建築である旧朝香宮邸がほぼそのままの形で保存された上、企画展示が行われる美術館として公開されているという異色の美術館です。近代建築好きにはたまらない場所で、わたしは足かけ10年以上に渡って、4-5回は通っています。
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外観はアールデコらしくシンプル(中身がすごいんです)。さて、10時の開館少し前に着いて一番乗りだったみたいで、チケット売り場に並んでいたところ、通りがかりのご高齢のご婦人が「これあげます、一枚余ってるから」と言って、なんと展覧会の招待券をくださったのです。いやはや、本当にありがたい。お礼を言って受け取らせていただきました。なんと幸先が良いことでしょう。
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今回の展覧会、ほとんど事前情報を仕入れずにチラシの動物の椅子を見ただけで、これは良いものに違いないと踏んで来場しましたが、実物とその展示空間を見て確信に変わりました。
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なんで椅子ばっかり彫刻したの?という問いはあるのですけど、それよりもともかく動物たちがユーモラスで可愛くって仕方がないのです。言ってませんでしたが、この展覧会は撮影OKでSNSでの拡散も可とのこと掲示されていました。
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これサルの椅子の尻尾です。だいたいサルはこんな風にくるりんとした尻尾として意匠化されていました。あと、これらは全部、丸太から掘り出されたもので、脚の部分も組み合わされたわけでないのです。
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たぶんブラジル原住民の人が多く接したであろう鳥やサルの椅子が多いのですが、中には魚やエイの姿も。サル同様に写実ではなく、戯画化・意匠化されているのが興味深いです。

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座面の部分には独特の幾何学模様がありますが、時代によっては装飾性のないシンプルな椅子もあり。生活の道具としてだけでなく、宗教儀式に使われるものもあったようです。
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コウモリは他の動物と違って、背ではなくおなか側に座るスタイル。
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展示物が主に自然光で照らされるという展覧会も珍しいと思います。絵画だとこうはいきませんよね。もともと、この旧朝香宮邸は採光が素晴らしく、日中はどこもかしこも照明がいらないくらい。アールデコの意匠がよく紹介されますが、サンルームの廊下をはじめ、設計が練りに練られています。そういうことも同時に楽しめる展覧会でもあるのです。
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さて、どれくらい以前からこの動物の椅子が作られてきたのかわからないのですが、今現在でも複数の部族によって作家性のある彫刻が作られ続けているそうです。それら新しい作品が別館にまとまって展示されていました。昨年終わった改修工事以降から、この別館もリニューアルされていました。以前は休憩所とセミナールームだったのが展示スペースが加わっていました。
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ジャガーなんだそうですが、ちょっと一般的にイメージされる精悍な感じではなく、おっとりした感じがしますね。

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これはバク。このバクが一番気に入りました。背中の模様が良いと思いませんか。
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別館まで見終わったあと、逆に回って好きな椅子をもう一度眺めました。旧朝香宮邸で一番有名な場所にも動物たちがいます。これらの展示構成は建築家の伊東豊雄氏が手がけたそう。なるほど、確かに凝ってました。
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別館にあるミュージアムショップで図録と、いくつかあるグッズの中から木彫りのブローチを妻と自分用のお土産に買いました。ブラジルの作家さんによる作品も売ってはいるのですが、やはり非常に高価でした。手のひらサイズでも10数万円くらい。でもどうせならやっぱり椅子が欲しいですねー。

この展覧会で見た椅子なんですけど、よく考えてみると吹田の国立民族学博物館に展示があってもおかしくないのに、どうして一度も見たことがないんだろう?「みんぱく」には何度も通っているのに、と不思議に思ったのですが、あとで解説を読んだところ、これらの展示はブラジルの出版社BEI社のコレクションで、今回が海外初公開だそうです。妻にラインで写真を送ったら、巡回して欲しいーと非痛な叫びが返って来ました。みんぱくでやって欲しいです、本当に。もう一度じっくりと見たい。

会期は9/17まで。私同様、コミケで東京に来ている方で民族学的な意匠が好きな人、動物好きな方にはぜひおすすめ。あと椅子が好きなひとにも!(椅子が好きな人っていうのもいるんです。建築好きとかぶったりする。)

展覧会には行けないよっていう人には、図録が市販されているので、ぜひ。

ブラジル先住民の椅子

ブラジル先住民の椅子