姫路モノレールの遺構見学(手柄山交流ステーション)

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前回の記事から年末年始の挨拶もないまま、はや一月が経ってしまいました。コロナ禍は未だ続いておりますね。世界でワクチンの接種がすでに始まっていることは喜ばしいニュースです。ただ日本でも接種が始まるのはだいぶ先で、そこから集団免疫が獲得されて...という流れで考えると、自由に気兼ねなく出かけて外食を楽しめるのは今年中は無理かな...現実的に考えて。それでもなんとか密をさけて、楽しみを見つけていかないといけないわけで。

前置きが長くなりましたが、今日は久しぶりの遠出です。姫路市にある手柄山交流ステーションに保存されている「姫路モノレール」を見学に行きました。JR姫路駅から徒歩で15分くらい、山陽電車手柄駅から徒歩5分ほどにある手柄山という小高い丘の上にあります。

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モノレールの中でも跨座式、その中でもロッキード式と呼ばれるタイプです。大阪モノレール東京モノレールのようなゴムのローラーではないんですね。手柄山交流ステーションの1階部分にそのレール部分が、吹き抜けで2階部分に車両が2両展示されています。1階部分は水族館と共用でそちらは有料ですが、モノレール見学は無料です。

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車内に入って腰掛けることもできます。けっこうラグジュアリーな感じです。

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窓の外には当時の広告なども再現されています。

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車内には運行当時の映像が放映されていました。本当に走ってたんだなぁ...。こうやってみると2両の車体はかわいい(輸送能力は低いけれど!)

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座席は灰色のモケットだったようです。

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この手柄山交流ステーションは、もともとモノレールの手柄山駅として建造された建物で、実際にこのようにホームがあったようです。

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当時のホームを再現しています。

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展示の中でも、この模型がよくできています。終点で今、わたしがいる手柄山駅はまるで秘密基地のようですが、いまもほぼこの外観なので驚きます。

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ドボク好きの界隈ではこちらの「大将軍駅」の方がおなじみですね。上部が公団アパートで、3−4階部分がモノレールの駅になっているというモダンな構造。2017年に解体されました。となりの姫路駅は明らかな仮設でむっちゃ距離が近い。

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姫路モノレールの開業は1966年と古く、姫路大博覧会にあわせて開業したとのこと。かなり先進的な取り組みであったことは確かです。wikipediaに詳しいですが、開業わずか8年で廃止された理由は鉄道にさほどくわしくなくても想像がつきます。ひとつは距離が短すぎるし、姫路駅から近すぎること。博覧会後に恒久設備にするつもりであったのに手柄山を終着にしていたので、そこからの延伸工事が難しかったのではないかということ。ほかにも騒音や運賃の高さが挙げられていますが、個人的には駅の統一感の無さ?が気になっています。

廃止の原因とまでは言わないまでも、仮設の姫路駅と大将軍駅が近すぎることや、大将軍駅モダニズムデザインに対する、手柄山駅のキッチュとも思えるデザイン(ヨーロッパ中世のお城を模したような感じ)との統一性のなさ(大博覧会の会場だからという理由はあるにせよ、直近の1970年大阪万博の建造物デザインを見ても時代に即していない感じがする)などを見ても、構想の先進性に対して、計画のちぐはぐさが否めません。もちろん、事情はあるのでしょうが「すごいものを作った」ところで終わって、維持することまでエネルギーが回らなかったんでしょうね...(公共事業なのに)。

ja.wikipedia.org

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いま営業しているモノレールのパネル展示。上野動物園モノレール、律儀に運転休止のプレスリリースが貼ってあります。悲しい。そうそう湘南と千葉の懸垂式は乗ったことがないんですよ。ぜひ乗りに行きたいし、将来的にはドイツで今も現役のヴッパータール空中鉄道にも乗りたい!

dailyportalz.jp

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むかし営業運転していたモノレール、犬山にモノレールがあるなんて知らなかった!平成20年になっても走っていたなんて、これは悔しい。犬山にある明治村にはしょっちゅう行っていたのに。むむむ。「大阪万博モノレール」は現在の「大阪モノレール」とは別のものです。姫路モノレールも位置づけ的には「大阪万博モノレール」に近かったと思うのですが、恒久設備として計画したのは採算が取れる見込みがあったのか、それともそこまで考えてなかったのか。

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同じく手柄山(とういか別の峰か?)にある回転展望台(老朽化で設備休止)。こちらも1966年建造でデザイン的には大将軍駅と同じモダニズムっぽい。

ところで姫路モノレールを見に行こうと急に思い立ったのは、もともといつか見学しようと思っていたのもありますが、デイリーポータルZの以下の記事を読んだから。モノレールとは関係なく、その行き帰りの道中で車窓動画を撮ろうと思ってのことです。また、同時に記事中の動画にある「GPSデータをもとにしたGoogle Earthのトラッキング」にもすごい引かれて、よしGPSデータも取るぞと。こちらの件に関しては、動画もGPSデータもうまく取れていたので、別項でまた記事にします。Google Earthのトラッキングツアーを作るのは難しくないけど、ちょっとだけコツがいるのがわかったので。

dailyportalz.jp